私は紙袋の中身を取り出す。



………あ……


「これ…」


ピンク地に白い花がついた黄色い帯の可愛らしい浴衣だ…。


「もうすぐお祭りでしょう?だから、瑞穂ちゃんに着て欲しくて…」


そういえば来週だったっけ。


でも


「わざわざ買って下さったんですか?でも私…」


「いいのよ。瑞穂ちゃんはもう一人の孫みたいだし。受け取ってちょうだい?」


「喜美子さんありがとうございます!」


私が言うと彼女は笑った。


本当…大好きだぁ…喜美子さん。


でもお祭り行けるかな…


友達みんな彼氏とかとだし。


すると


『命令だ。早く俺の部屋来い!』


げっ……


琉からトランシーバーで連絡が…


「全くあの子は。女の子に優しくできないのかしら。」


拓君みたいな事おばあちゃんにも言われてるよ…琉は。


私は笑う。


「じゃあ行きますね。琉怒るだろうし。浴衣ありがとうございました。」


「またね!」



「はい!」


私は慌てて琉の部屋に向かった。


今度は何!?




命令大好き男にまた振り回される私です。





〈コンコンッ〉


私は琉の部屋のドアをノックする。


「入れ。」


むっ…


〈ガチャ〉


「お呼びで?」


私は琉の部屋に入ると言う。



「夕飯のリクエストなんだが。」



げっ…そんなくだらない命令?



「俺、カレーがいいな。本格的なインド風の。」


「は?」


琉はにやっと笑って言う。


料理なんかかなり久しぶりな私にそんな意地悪な命令!?


インド風ってわかんない!


誰かに聞くかぁ…


「絶対これな?」


「はい…」


琉は意地悪だ。


笑ってる顔が本当に本当に…



すると


「おい、その手に持ってるのなんだ?」


琉が私に聞く。



あ……


浴衣持ったまま来ちゃった。