「拓君!」
私は廊下に出て拓君を呼び止めた。
「瑞穂ちゃん…?」
拓君は振り向いた。
「ごめんね。私、琉と付き合ってるの。」
私は拓君に言う。
「琉から聞いた。でも俺諦められないんだ。」
「いいよ。今すぐに諦められなくても…。でも私は琉だけだから…」
「瑞穂ちゃん。」
「拓君は他の女の子の方がいいよ。私を好きだったら辛いよ?親友の琉とも気まずいし拓君にとっては…」
ただ私は自分の気持ちを拓君に素直に伝えたいだけ。
琉を好きだから自分なりのけじめ。
昨日から気まずいままだし。
「昨日はメール嘘ついたの。ごめん。妹さんにも悪い事したよね。でも私…拓君を選べない。」
自分の気持ちを素直に…。
だけど
「瑞穂ちゃん。俺は瑞穂ちゃんにどんなに傷つけられても諦めないよ?」
「えっ……」
拓君は私を見つめながら言った。
「瑞穂ちゃんにはもう無理矢理キスとかしない。でも俺はただずっと瑞穂ちゃんを見てるから。」
「………っ……」
「辛くてもさ好きは止められない。俺はまだまだだから。瑞穂ちゃんが俺を見るまで頑張るだけ。諦めるのは難しいんだ。だからただ一途でいる。」
「拓君…」
「でもだからって気まずいのはやめて?瑞穂ちゃんは俺と今まで通りでいいよ。俺はそれでも頑張るから。」
「ごめん。」
「いいんだよ。こんな恋でもさ、いつかは綺麗な過去になる。だから俺は大切にしたいんだ。」
「拓君…。」
「俺、職員室行くね?じゃあ。」
拓君は辛くても私に一途。
琉も一途に私をずっと。
恋は難しいんだね。
私は拓君には悪いけどずっと琉だけなの。
でも
拓君も私の琉への気持ちと同じ。
なぜか拓君の気持ちは聞けてよかった気がした。
諦められない。
複雑な気持ちになったけど。
なんで恋も友情もなんてできないのかな。
誰も傷つけずに恋する事ができない場合もあるんだ。