「なぜ笑う?」
「琉らしいから。」
「俺に彼女は無理思ってんだろ?」
「いやいやいやいや。」
本当は思ってるけど。
「ま、瑞穂には無理だよな。俺がいる限り。つか、瑞穂を好きになるやついたら笑っちゃうよ。」
「うるさいなぁ…」
「この家出るまで俺の言いなりだからな?」
「はい…」
あー…早く自立したい!
でも
まだまだ先だ〜
うっ…琉のお世話係じゃない仕事なら平和なのに!
奥様達の命令だからね…
私はお世話になってる立場だし。
小学四年の夏からずっとここにいる。
預かれる親戚もいない私は琉の家に来たんだ。
琉は意地悪だけど
私が一人ぼっちになった時、私の事を親に話してくれたし…優しくしてくれた事もあった。
幼稚園からむかついて嫌だったけど…
その時から
琉も完璧な悪人ではない事をわかった。
もうすぐ両親の命日。
両親の死は結婚記念日の日、私が二人でデートしてきなよと言ったのが悪かったんだ。
交通事故だった。
留守番してた私は帰って来ると思ってたのに…
待ってたのに。
二人はそのまま…
だからこの時期は思い出してまだ少し痛む所がある。
頑張らないとな、私。
すると
「瑞穂、命令だ。明日、付き合え。」
「はい?」
私は琉を見る。
「暇なら俺が遊んでやってもいいぞ。」
何その態度…
遊ぶって年かな?私ら。
「遊ぶって…」
「男もいないかわいそうなやつの相手をわざわざこの俺がしてやるって言ってんだよ。」
こいつ
素直じゃない…可愛くない。
でも
こんなやつだけど助けられてるのかも。
命令とかうざいけど、琉がいなかったら私はホームレスになってたかもしれない。
むかつくけど…
「わかった。」
逆らわないし。


