「お、おまえ…」
長いウェーブのかかった茶髪の女の子…だ。
高校に女の子。
超ミスマッチ。
10歳ぐらいか、その辺だろう。
幼い顔はそれでも凄く整っていて…
ワンピースを着た身を気だるそうに木に預けている。
舞い散る花びらが更にこの子を幻想的にしていた。
が。
いくら美少女でも俺は子供にドキドキしている程暇ではナイ。
「おいおい…どっから入った?迷子?」
俺は芝生から腰を上げて自分より目線の上にいるその子供を見上げる。
今世間は春休み。
その辺をフラフラ遊んでいて、校内に入り込んだのか?
そう俺の考えた事とは裏腹に、その子は人形の様な笑みを浮かべてこう言った。
「失礼ねっ!あたしはここの桜の妖精よ!」
「あー調度きりがいいし昼飯買いに行くかー!」
「ちょっちょっと!!丸むし?!ねぇ!!」
「やべ、疲れてんのかなー幻聴が…」
「生!ホンモノ!現実!!」
きゃんきゃん騒ぐ人形みたいな小娘は、まじで俺の目の前にいるらしい。
なんだこれ。
「今あたしに見とれてたくせに!なかった事にする気?!しんっじらんないっ!!」
しんっじらんないのは俺の方だ。
なんだこの外見とのギャップは。
リカちゃん人形の性格がギャルだったみたいだよ。
「降りろ。ここは小学生が来るとこじゃねーよ」
「ぎゃっその顔と頭でガンつけられるとコワいッッこれがぞくに言うヤンキーね!!」
ツマミ出したろか……
俺がすっげー怪訝な顔をしていてもお構いなしに、その子供は身軽に桜の木から降りてきた。



