花散らしの雨

「そうか、なら良かったけど。でもお兄ちゃんは交際までは認めませんよっ」

「誰がじゃじゃ馬と付き合うって?」

「桂すんごい失礼!!」

「美輪の事分かってるね蘇芳!」

「お兄ちゃん?!」


…そいや、美輪は俺の右手の事倉敷に聞いたのか?


「倉敷、なんで俺の怪我の事知ってたんだよ」

ん?と倉敷は俺を見上げる。


「昔俺の見舞いに来てくれた奴から聞いたんだ、風の噂的な。おまえの絵俺の周りじゃ有名だったし」


…そうなのか。

俺の周りは……絵心?ナニソレ食えるの?って奴ばっかだな。
何故に。


「そうだ桂!明日絵持ってきてよ!」

美輪が弾んだ様に言った。

「え゙ってか…倉敷に見せるんだろ?倉敷俺の前の絵知ってるから恥ずいんだけど」

「蘇芳、おまえ絵描いてるの?」

意外だという様に倉敷は目を丸くする。

「左手だけどなっ 美輪も言ったけどあの桜とは全然違うぞ」

「そーだけどなんかいい絵なんだよ!見てもらってよー!」

俺は焦って左手画を弁解したが、美輪がまた突進してねだってきた。

「おまえの妹、いつもこんなん…?」

「うん。元気いいだろ」

良すぎるとも言う。

まぁでも、そんな美輪に俺は弱いんだろうな……


「分かった、明日な」


「やったぁ!」




右手で描いた絵を倉敷が見ていて、左手で描いた絵を美輪が知ってる。

なんか不思議な感じだな。


けどやっぱ倉敷にあれを見せるのは勇気が……


誤魔化しに見舞い品とか持って行くか。


……桜あんぱんとか。





なぁ、俺、おまえに会えて良かったよ。


あの日おまえが桜の木にいてくれなかったら、俺は右手をこのままにしてた。

絵が好きなのに、なんだか履き違えてた。


右手でも、左手でも

上手くても下手でも

周りはこんなに暖かいんだ。

美輪がいたからそう実感した。



…なんて言ったら、おまえは



「桂が心から、絵を好きだからだよ」


って言うんだろうな。