花散らしの雨

たまたま倉敷が俺の描いた絵を見る機会があって、そういう嬉しい感想を貰った。

まぁでも、倉敷は気さくな奴だから、さらっとそう言ってくれた感じだったんだよな。


高一の後半辺りから学校来なくなって、入院した…って聞いた時も、確かに気にはなったけど…

あれから一年半経てばなぁ。

妹に会っても思い出さんわ。


「なんだー桂言ってくれれば良かったのに!」

「美輪よ、誰が初対面だったおまえと倉敷を結び付けるんだ」


確かにすげー綺麗な顔してるのに、中身のギャップがある……
気さくなのに、存在が儚げで……兄妹…兄妹だよこいつら!!



「ところでカツラって誰?」

「へ?」

倉敷のさり気ない爆弾発言に美輪が驚愕した。


「かっ桂は桂だよ、お兄ちゃん同じクラスだったのに名前わすれたの?」


…そういえば美輪には言ってなかったっけ。
俺の名前。

倉敷が俺を見る。

「おまえ…あれ?間違ってたら悪いけど…おまえ蘇芳だよなぁ?」

「あぁ」



美輪がゆっくり俺の方を向いた。



「ス、オウ…??」



「だよな、ほら、美輪も見たろ?あの桜の絵描いた奴だよ」



倉敷の説明に、美輪はみるみる唖然とした顔になって、目を真ん丸に見開いた。


「かっ……桂じゃないの?!!」

「何、蘇芳ヅラなの?」

「違うわッ」

美輪が口をぱくぱくさせている。

あー…紛らわしい事言ったもんな俺も。
でもあんま知られたくなかったってのもあるし…

俺は一瞬そんな悶々をして、美輪を見下ろし言った。


「スオウ ケイって俺の名前。ケイは桂って書くんだよ」

「……」

美輪はぽかんとした顔で俺を見上げている。


「だからダチがそれをあだ名にしたわけ。分かった?」


「……」


あれ?反応がない。


「う…うそよ」

美輪が俺を見た目はまさに疑いの眼という感じだった。