花散らしの雨

相変わらず雑然としている朝の教室。


今日も俺は普段と何も変わらない。

ただ最近はぼんやりしている事が多くなったような気がする。

これは春の暖かさが原因と思ってるけど。

実際は…あの場所に行っても美輪は居ない、桜もないというちょっと寂しい感じとか、絵を描き上げた脱力感が入り交じってる…そんな感じ。

なんか、取りあえず暇だ。

もしかして一足先に俺五月病じゃね?


春眠暁を覚えず。

なーんて。
ただ眠いだけの言い訳じゃん、とかどうでもいい事を考えていたり。




ん?

ふと横を見ればいつも元気に絡んでくる拓造の姿がない。

もうすぐ1限目始まるってのに、遅刻とは珍しいな。


「あぁ、栗原?」

俺は不本意だが詰まらなそうな顔をしていたらしい…
そんな俺に気付いて前の席の奴が声を掛けてきた。

「栗原さー昨日部活でギックリ腰になったんだよ」

「はッ?」

こいつも拓造と同じ野球部だ。


「なんでギックリ腰?あいつ歳幾つだよ」

「なんかバット振った勢いで変に腰捻ってグキッてきたんだってよーバカだよな」

「まじで!ぅわ、笑える…」

意外と酷いギックリ腰だったらしく、動けないまま病院に一日入院したらしい。


「見舞いでも行ってやってくれよ」
「えー面倒…」

そんな会話をしたが、今日はたまたま部活も休みだし暇潰しには調度いいか…


帰り際偶然廊下で会った吉沢にその話をしたら大爆笑だった。

「何やってんだか拓の奴」
「吉沢も見舞い行く?」
「や、今日春大会のミーティングあるから無理だわ。俺の分もいじってやってくれよ桂」

そう言って持っていた飴玉を一つ預けられた。

なんて簡単な見舞い品だ…
あ、メロン味。



空は晴れ。

暖かな春の陽気は、ブレザーでは少し暑いくらいだった。