花散らしの雨


しとしとしとしと……




今日は雨だ。

雨といっても細かくて空の雲は白く明るい。


「春雨だなぁ〜〜」


校舎から飛び出た屋根の下、並ぶのは俺、拓造、吉沢。


「あれ、何で俺ここにいるの」

「つれないぜかっちゃーん!俺達仲良し!!」

部活も見た目もてんでバラバラな俺達だが、実は高一からのダチだ。
気が合えばそれは趣味やら外見やらを超越する。

なーんて。


「おまえら大変だな、雨でも走り込んでんの?」

「そっ!織田先もむっちーも容赦ねーから」
「ほんとにな〜」

二人は昼飯の弁当を掻き込みながら同調し合う。

野球部とサッカー部の二人の顧問は熱血で有名だ。確かにこれくらいの雨なら文句も言わせずに練習させるな…


かく言う俺は。


「桂は今日は描けないだろ?」

そう。当たり前だが水彩は水に滲むので、雨の日にスケッチブックなんか広げてたら今まで着色した色が流れてパーだ。

だから今日は学校に来ても意味ないんだけど…


「んー、家に居ても暇だからよ…」



ほんとは美輪が気になったからだ。

雨が細かいとはいえ、やっぱこの天気でも桜の木にいるのかと思うと…

なんか、な。


「てか明日始業式じゃん!!」
「拓気付くの遅ッ」

そうだ、もう明日から新学期だ。

そろそろ絵も完成させないとなぁ…

「ちょ、昨日荒木見たけど金髪になってた」
「まじで!どうせ黒彩振って誤魔化すんじゃねーの」

まぁ後少し描き込んでから仕上げするだけだし…
我ながらよく頑張った。うん。

「そいや倉敷まだ入院中なんだって?よっしーのクラスだよなぁ」
「そーなんだよ、新学期出てこれんのか…てか進級してんのか?」

…倉敷?そういや全く顔見てねーなぁ…

「ぅおぃかっちゃーんぼーっとしてるぞー」
拓造が俺の目の前で手の平を振っている。


「飯食うと眠くならねぇ?」
「「なるなる」」


時計は1時を指していた。

「げっそろそろ行かねば!」
「俺も!」

バタバタと二人は荷物を持ちだす。

「桂はまだ居るのか?」

「あー、その辺プラプラして帰るわ」