「美輪」
4月4日。
今日は俺から声をかけてみた。
美輪は桜の木の上でぼんやりしていたから。
「あ、桂!おはよう」
…一瞬、今までより元気がなくないか?
と感じた。
「ねーぇ昨日はどこまで進んだの?見せて見せてっ」
思い過ごしか…
美輪は軽やかに幹から飛び降りてまだ絵の用意もしていない俺に飛び付いた。
「おい美輪っ分かったから離しなさい…」
美輪はやんちゃ気質だ…
俺は袋からスケッチブックを取り出して渡してやった。
「ほれ」
「おー!!」
ベース色ではあるが、昨日の下描きに加え花びらのピンクと幹である茶色のコントラストがついている。
「まーまだ塗り甘いけどな」
なにせ滲みまくりだし、着色はエンピツみたく簡単に修正が効かないから慎重になる。
下手したらただの雑い落書きになりかねない。
美輪はスケッチブックを握りしめながら俺を見た。
「えーでもいいよーあたしはこれ好きだよ、かなり!」
「……」
どこかで聞いた言葉だった。
それは…
「…桂?」
「あ、いや」
突然止まった俺を見上げる美輪は首を傾げている。
綺麗な顔。
…どこかで…
…俺何考えてたんだ。
俺は首を振って思考を止めた。
「変な桂!ね、これからもっとぬっていくのよね!楽しみ〜」
俺が一人戸惑っているのも一蹴して、美輪は桜の絵をもう一度嬉しそうに見つめた。
そして…本物の桜を見上げる。
「…確かに…キレイだよね…」
そう呟いた。
美輪…
あんたは何でここに居て、何を思ってる……?
4月4日。
今日は俺から声をかけてみた。
美輪は桜の木の上でぼんやりしていたから。
「あ、桂!おはよう」
…一瞬、今までより元気がなくないか?
と感じた。
「ねーぇ昨日はどこまで進んだの?見せて見せてっ」
思い過ごしか…
美輪は軽やかに幹から飛び降りてまだ絵の用意もしていない俺に飛び付いた。
「おい美輪っ分かったから離しなさい…」
美輪はやんちゃ気質だ…
俺は袋からスケッチブックを取り出して渡してやった。
「ほれ」
「おー!!」
ベース色ではあるが、昨日の下描きに加え花びらのピンクと幹である茶色のコントラストがついている。
「まーまだ塗り甘いけどな」
なにせ滲みまくりだし、着色はエンピツみたく簡単に修正が効かないから慎重になる。
下手したらただの雑い落書きになりかねない。
美輪はスケッチブックを握りしめながら俺を見た。
「えーでもいいよーあたしはこれ好きだよ、かなり!」
「……」
どこかで聞いた言葉だった。
それは…
「…桂?」
「あ、いや」
突然止まった俺を見上げる美輪は首を傾げている。
綺麗な顔。
…どこかで…
…俺何考えてたんだ。
俺は首を振って思考を止めた。
「変な桂!ね、これからもっとぬっていくのよね!楽しみ〜」
俺が一人戸惑っているのも一蹴して、美輪は桜の絵をもう一度嬉しそうに見つめた。
そして…本物の桜を見上げる。
「…確かに…キレイだよね…」
そう呟いた。
美輪…
あんたは何でここに居て、何を思ってる……?



