お試し恋愛


「ね、なんでさっき分かったの?」

と自転車の後ろにまたがりながら聞いてみる。

「……思いっきり、声に出てたから」

はぁ、とまたため息をついて

「ちゃんとつかまって」

少しだけ顔を後ろに向けてそう言い、すぐ前を向いてしまった

うんとだけ言い、理矩のワイシャツをちょこっとだけ掴むと、

「それじゃ落ちるから、こーして」

今度は体を捻りながら後ろを向き、あたしの腕を取り理矩のお腹へと回した。

「っちょ、これじゃあたしが……

キャっ

「あたしが理矩に抱きついてるみたいじゃない」

そういい終える前に走り出した自転車。

まぁ、みたい、じゃなくて実際に抱きついてるんですけど。

そうじゃなくて、他人が見れば、恋人同士に見えてるんじゃないかと思って。

こんな奴と恋人とかなりたい人がどこにいるのよって話だし。

ふと周りを見ると、

……「ちょ、理矩、恥ずかしい」

朝からかなりのスピードで飛ばしている、しかも男女が2人乗りしている自転車は、みんなの注目の的で。

「そんなこと言ってる場合じゃないんだけど。つか、俺たちキョーダイだし問題なくね?」

何が恥ずかしいんだよと言いさらにスピードを上げる

こ、こんなスピード出したら危ないよ。

お、落ちそうっ!

そう思い、理矩のお腹に回した腕にギュっと少しだけ力を入れた

「お、恥ずかしいとか言って、実は嬉しかったりするわけ~?」

とからかいながら器用に運転を続ける理矩。

「なっ、そんなわけないでしょ!てか、急ぎなさいよ!」

と理矩の背中に頭突きをすると自転車はグラりと左右に揺れ、

「うっわ、マジお前危ねえ!」

体勢を元に戻しながら言った理矩は、少し焦っていた。