お試し恋愛


「とか言って~、くっついてるじゃん?」

見事にあたしの言葉は遮られ

連弥の言葉にカッとなり顔を上げると

「……あ、そこ。右に曲がって」

いつの間にかもう家のすぐそこまで来ていて

了解を意味する言葉が聞こえた途端、自転車は右に曲がる。

自転車は、心地よく風を切りながら進んでいく。

「んっ、そこの桜の木あるとこ」

蓮弥から片手を離し、斜め左にある一本の木を指をさす。

「へぇ、桜とかあるんだ。」


それだけ言って自転車は止まる。
それにしてもデカイ家だな。と呟きながら降りる蓮弥につられて、あたしも自転車から降りようと、跨っていた右足を上げる。

けれども足を上げた途端に痛み出すあたしの、足。

痛っ、と声を上げるとハッとした顔で

「っごめん。大丈夫か?俺が降ろすからじっとしてろ」

と言い軽々とあたしを持ち上げ、いとも簡単に自転車から降ろしてしまった。

「あ、ありがと」

そ……そんなに簡単に降ろせるもんなの?
あたし、そんな軽くないよ。……いや、むしろ重い方。
なのに。そんな簡単に持ち上げちゃうなんて。
男の子って、そんなに力あるもんなのかなぁ?

ちょっと疑問だけど、あたしがそんなこと考えているうちに、いつの間にかまたおんぶされていて。

「鍵、持ってる?」
あたしをおんぶしているのにもかかわらず、スタスタと進められている彼の足。

「……ねぇ、重いよね?」

鍵を渡しながら、おそるおそる聞いてみた。