お試し恋愛


やっとのことで走り出し、あたしの指示を受けながら家に向かっている自転車。

「落ちないようにちゃんと摑まってろよ?」

心配しているような声色で、もっと強く摑まれ。とでも言いたげな蓮弥。

「う……ん」

返事はしたものの、理矩以外の男子と2人乗りなんてしたこと無かったから……しかも、見栄張って言う事じゃないんだけど、あたし今まで彼氏できた事ないから。こういうの……なんていうんだろう。とにかく、恋愛経験なんて、ほぼゼロに近い。

なんて考えながら、未だ蓮弥の制服の背中をちょこっと握っていると

キキーッというブレーキの音がしたと思うと、あっという間に腕を取られ

「あー、もう何してんだよ。こーしないと危ないんだって!」

蓮弥によって取られたあたしの腕は、

「っ、ちょ……//」

「え、何。莉歩照れてんの~?」

「っ//なっ、なわけ無いでしょ!はっ早く進んでよっ」

「……はいはい。」

蓮弥のおなかに回されてしまった。

朝と同じく、周りから感じる視線。

「……っ//」

何だか急に自分のやっている事が恥ずかしく思えてきて、腕を戻そうと少し力を弱めただけなのに

「おい、離すなよ?ちゃ~んとくっついてろ」

バっと腕を摑まれ

「ちょ、別にくっついてる訳じゃ……」