「ごめん、なかなか見つからなくてさ」
彼はあたしが腰掛けているベッドの前の椅子にガタンと音を立てて座った。
手当てが終わり、ありがとうと軽く微笑んだ。
彼に湿布を貼ってもらった足は赤く腫れていた。
どうりで痛いわけだ。でも、そんなにひどいわけでもないので、2・3日でどうにか治りそうだ。
家はそれほど遠くないけどどうやって帰ろう。1人で歩いて帰るのはすごく時間がかかりそうだし……正直、できるかもわからない。
とカバンを手にし、帰る準備をしながら考えていると、
「足、そんなんじゃ帰れないだろ?」
彼はばつが悪そうな顔をして、あたしの足を指差す。
確かにそうだけど、帰るしかないじゃないと思いながら
あたしが下を向いて黙っていると
「俺、自転車だからさ。送ってくよ。」
と眉を下げながらあたしのカバンを持ち、体をささえてくれた。
「あっ……あ、ありがとう」
照れているのが分からないように、とっさに下を向く。
そして彼の手を借りながら歩き、いつもならさっさと玄関まで行くのに、今日は1歩ずつ歩くのが精一杯でなんとか玄関まで辿り着いた。
「ちょっと待ってて」と玄関を出ると彼は小走りで自転車を取りに行った。
かごに2人分のかばんが入っている自転車は、あたしの前まで来ると、キキッと音をたてて止まった。
朝と同じように後ろの荷台に乗ろうとすると
「危ないって」
と彼は少し焦った声で言い乗るのを手伝ってくれた。
「ありがとう」と少し照れながらも笑顔をつくると彼は
「お、おぅっ」
とだけ言い自転車に跨った。
