「今日は転校生を紹介します」
先生が入って来て、わっと教室に歓声が響くなか、須磨だけはまた机に伏していた。
勿論起きているが、上体を起こすのが面倒で仕方がない。
先生も最近は注意をしなくなったし、勉強さえ出来ればそれで良いのかと思う。
ガラリと扉が開き、一人の女が姿を現した。
須磨は机に組んだ腕の隙間から女を見たが、かなりの美人さんである。
整った顔立ちに綺麗な黒髪。
ただその黒髪だけは妙で、左右で髪の長さが違っていた。
長い方の髪は横で可愛らしく結ばれ、最近のお洒落にはついていけないなと、おかっぱ頭の須磨はうっすら思った。
