隣同士で歩く二人にこれといった会話は無い。 違う意味で目立つ二人だったので、誰かと擦れ違う度振り向いて見られる。 「須磨サン」 「……」 「須磨サンって、一人?」 ぎくりと、須磨の肩が震えた。 その言葉に悪意が無いことはわかりきっていたが、見下されているようで腹が立つ。 須磨は山梔子を無視し、足を速めた。 自分でも息切れするほどに速く歩いて二人の距離を空ける。 山梔子はもういなかった。