「須磨サン、一緒に帰ろう」

だが山梔子は、須磨に懐いた。
友達選び放題の山梔子が何故自分に執着するのか須磨には理解し難い。

それに誰かと一緒にいる時間というものは、長い間一人で生きてきた須磨にとって苦痛でしかなかった。

「……勝手に」

須磨は適当にあしらい教室を出る。誰もが山梔子と帰りたいはずなのに、よりによって須磨。
皆も気に入らないに違いなかった。

自分に友達がいないことに同情されたのだろうか。
須磨は山梔子と隣の席になってしまった運命を呪った。