「仕方ねぇな。おい、ユイ。埒があかねぇ、いっちょ戦うぞ」
「…え?ユイちゃんだけじゃ、ない……?」
よく見れば、ユイちゃんの前には二人の男子生徒、七海さんのそばにも二人の生徒がいた。
あれか、派閥ってやつか。いやぁ、この高校っていろいろ凄い……。って感心してる場合じゃない!
「ちょっと、ユイちゃん!」
「フィールドを展開せよ!」
私が叫ぶのと、その言葉が響くのはほぼ同時だった。
ピカッ―――と白い光が視界を覆い、慌てて私は顔を庇う。失明しそうな光がやんだかと思うと…そこはセピア色の空間へと変わっていた。
「はあぁ!?」
「……時雨っ!?」
ユイちゃんが私の元に飛んできて、肩をつかむ。飛んで、飛ん、で?
「ゆっ、ゆい、ユイちゃ、せな、か……え?」
ユイちゃんの背にはバサバサと動く黒い羽がついていた。動いてるってことは、作り物じゃないみたい。止まったり、かと思えばゆったりと動いたり。
「おい、ユイっ!なぜ一般人が結界の中に入れるんだ」
「あ、あの、大丈夫ですか…」
不機嫌顔の人と、おびえ顔の人がこちらへ駆け寄る。七海さんは何やら考え込むように指を顎へと沿わせていた。
へたりこんでいた私は、ハッとして立ち上がるとユイちゃんの腕をつかむ。
「私は、大丈夫。それよりもこれは何?ユイちゃんの背中のソレは?」
「ほぅ、気が強い女だ」
「貴方は黙っていてください。ユイちゃん!」
「あ、あたしだって分からないよ…」
戸惑うユイちゃんに、七海さんが声をかけた。
