「……教えてくれる?」


「簡単よ。私が説明する」


壁に寄りかかって息を整えていたユイちゃんが声を上げた。そちらに視線を向けると、柔らかく微笑んでくれる。


「力を集めて、結界内で自分の分身…ドールを作る。それを操って戦うのよ。結界内ではドールを使って以外の攻撃はできないし、本体は安全でしょ?でもね、ドールが怪我をすると、その反動が本体に波となって襲ってくるの。肉体的な傷は負わないけど、精神と…精神が耐えられなくなると寿命が削られるわね」


「寿命っ!?みんな、そんな危ないことしてるのっ!?」


「言ったでしょ、それが役目だって。それに私たちは、命をかけてまでやらないといけない使命があるの」


ユイちゃんの言葉にはとてつもない重みがあって…わかった?という問いかけにコクコクと黙って頷くことしか出来なかった。
でもさ……傍観だけなんて、できないよ。


ぐっと握り締めた拳にもう片方の手を重ね、目を閉じた。そして私はひとつの決心をする。


(あいつの……神城の気持ちを聞いてみよう。こっちばっかり意見押し付けるのはいけないことだ。まずは和解しないと)


「ユイちゃん!」


「なに?」


「私…神城に会いたい!会って、話を聞きたいの。私は私が間違ってるとは思えない、でもそれだけで神城を追い詰めることはできない…。だから、話をしたい」


「っ、本気で言ってるの?それ」


「もちろんだよ。私は、神城と話す。互いに譲歩しあう。する気がなくても、させてやる」


「……時雨なら」


「え?」


「神城さまに、伝えるだけは伝えておく。あとは時雨、アンタ次第よ」


にっ、と明るく笑ったユイちゃん。ありがと!と私は反射的に叫んでいた。