私は人並みの感覚を持っている。だからこれは校内散策というジャンルに分類されると思ういやされるべきだ。


「………あれ、ここさっきも来た」


見たことのある廊下をぼんやりと見つめ、これは迷ったんじゃないか?と思いつつもそれを認めたくない思考回路。


言わせてもらうが、私は別に方向音痴などではない。どこぞの少女漫画じゃあるまいし、それが起こることはまず無いのだ。あってたまるか。


もうやだ、疲れた。


鞄を持つ手がしびれてきたので、抱き上げるように持ってから深くため息をついた。


「ねぇ、」


と、突然肩を叩かれる。