「そこにいるのは、砂月、お前の配下か」


「ふざけるな。こんな奴知らぬ」


二人して失礼だな。私はムッとして二人を睨む。どちらもキラキラオーラを振りまいていて、目の毒だというほどに綺麗。向かい合ってるとさらに。


しかし私は美形でも性格悪いやつがとても腹立つのです。美形だからといって、手加減はしない。


手を腰に当てると私は睨み合ってる二人の元へ歩いた。ピタリと足を止めると、二人を見上げる。


「貴方がた、先程から失礼なセリフを抜かしてくれやがりますね。七海さん、それとアンタ」


「アンタ、だと?」


「名前を知らないのだもの。名乗ってください。私は遠野時雨」


「…………」


「名乗んなくてもいいけど、その代わりアンタって呼ぶ」


男は苦虫を噛み潰したような表情で、神城砂月、と名乗った。


「わかった、神城さん。七海さん。つまりこれはどういうことです?さっきの光は?なんでセピア色なのに私と、アンタ達、色がついてるの?そこ、詳しく」


「ああ……それ、は…」


「遊斗、説明しろ」


「押しつけっていうんですよ、それ。あと遠野さん、我々のことを聞く前にこちらからも質問です。なぜ貴方は結界の中に入れるのですか?」


「…結界?」


いきなりファンタジーな内容に飛んだ。意味がわからない、と切り捨てる。


「あの。砂月さま」


その時、後ろから小さな声があがった。見ると、先ほど駆けつけてくれた男子生徒。小柄な身体を震わせて、神城さんを見上げる。


「なんだ、トキ」


「恐れながら……その、彼女は"協力者"ではないかと思われます……」


「「協力者、だと?」」


二人が同時に呟き、またにらみ合う。埒が明かない、と思ったのかユイちゃんが私の肩を抱いた。


「どうせ結界があるんだから、話しちゃいましょう。なぁに、あたしたち以外、聴くものなんてここには居ない。一回休戦だ」


「……そうですね、彼女に説明するのが先です。万が一協力者であった場合は……」


「「ゆずらない」」


またにらみ合う二人。だから何なんだこいつらは。どれだけ仲が悪いんだよ。


そのことも含めて、ユイちゃんの説明に期待するしかないな。私は本日、おそらく二度目のため息をついた。