夕焼けに染まる風景を窓越しに見遣る。
冊子作りは終盤に差し掛かっていて、この分だとそう時間は掛からない。
私からすれば何の資料かは知らないが、かなり重要な冊子なのだろう。
「…終わった」
全ての資料を冊子に閉じると、私は背伸びをした。
「お疲れ」
私しかいないはずの放課後の教室に、もう1人の声が響く。
首だけ振り向いて、声の出どころに視線を向けた。
「鷹宮くん、いたの?」
「うわっ、それ何気に酷いな」
俺、傷付く…と胸を押さえて泣き真似をしているのは、同じクラスの鷹宮 夏葵《たかみや なつき》。
運動神経抜群でクラスの中心にいるような人物。
その整った容姿と明るく取っつきやすい性格から、当然のように人気だ。
彼と同じクラスを所望している女の子は沢山いる。
ちなみに私は彼とはずっと同じクラスだ。

