「じゃあ、俺がしようか?」
実行委員決めの最中、皆して誰かに押し付けようとしている中、鮮明に聞こえたのは鷹宮くんの声だった。
余りに唐突すぎる彼の言葉に、皆が呆気に取られている。
けれど、次の瞬間には鷹宮くんを慕う女子達がこぞって挙手した。
その様子をこうやって端から傍観していると、彼の人気がよく分かったような気がする。
そう言っていいくらい、クラスの大半の女子が先程までの態度とは打って変わって、実行委員の女子枠を狙っている。
「相変わらず、すごい人気よね」
隣の未桜がどこか呆れた様に呟いた。
「でも意外よね。彼、インターハイで忙しいはずなのに」
「確かに。実行委員になると部活の時間は確実に減るし……」
インターハイを控えた彼は途中でも抜けられる、もう少し責任の軽い役割につくかと思っていたのに、それを彼はまんまと壊してくれた。
もしかして、例の好きな子が実行委員にでもなるのだろうか。
決してありえないことじゃないな、と思いながら、私は窓の外に広がる青空に目を遣った。
「女子は俺が推薦してもいい?」
担任にそう問う鷹宮くんの声がどこか遠くに聞こえる。

