バスケ部の朝練を終え、自分のクラスの教室のドアを開けると、その刹那、既に登校していた生徒達からの強烈な視線が突き刺さる。
それは私は当然のこと、隣にいる鷹宮くんにも向けられた。
例えるなら、それは羨望。
そう表すのが妥当だと私は思った。
「おはよう、志奈」
私達に刺さるクラスメート達の視線を気にすることもなく、未桜は明るい声音で挨拶をしてきた。
そんな未桜に私も私もおはよう、と返す。
「それより、今日は随分珍しい組み合わせよね」
未桜は私と鷹宮くんを交互に見て、にやりと人の悪い笑みを浮かべる。
「ねぇ、夏葵くん?」
何か確信づいたその笑みに、鷹宮くんはどこか焦った様な表情を露わにした。
「まぁ、いいわ。でも、今からは志奈はあたしに渡してもらうわよ」
そう言うなり、未桜は私の腕を引いて、窓際の自分の席に座った。

