「鷹宮くんとはただのクラスメート、それだけだよ」






彼女達に言ったその言葉を、自分に言い聞かせる様にもう一度心の中で呟いた。




鷹宮くんが余りに私に優しいから、思わず勘違いしてしまいそうになる。




と言うか、誰でも勘違いしてしまうだろう。






私だったからいいものの、彼を慕う女子なら“自分は彼に想われている”、そう勘違いして突拍子もない行動に走るに違いない。








彼には想っている子が他にいるというのに、これでは要らぬ誤解を招いてしまう。




そう思い、言った言葉にも女子達は疑う心を捨ててくれない。




さて、どうしようか、と思っていたその時、フロアの横にある更衣室から出てきた鷹宮くんが私を呼ぶ声が聞こえた。








「小鳥遊、一緒に教室行こうぜ」




その彼の言葉は、私の前の女子達には“ただのクラスメート”としての言葉に聞こえないらしく、彼女達の中には不満げな表情を隠す事もしない子もいる。



本当に彼との間には何もない、ただのクラスメートだというのに全然信じてくれない。




彼女達に言葉の続きを言う暇は与えられず、不意に腕を取られた。








「・・・・・・鷹宮くん」


少しの驚きと、やっぱり彼だったか、という予想が当たった事から私の口からは乾いた声が漏れる。




「早く行かねぇと、遅れるぞ」



「うん」