これだけギャラリーがいれば、誰がどこにいるかも分からないだろう。
彼との約束通り、バスケの練習も見た。
そう自己完結して、教室へ向かおうと踵を返そうとした、その時。
「小鳥遊!」
フロアから鷹宮くんが私を呼び止めるかの様に、声を張り上げた。
それと同時に、鷹宮くん目的の女子達からの鋭い視線が容赦無く降り注ぐ。
「小鳥遊、そこで待ってろ!」
まるで私を彼女の様に言う鷹宮くんの言葉に、更に女子達が先程までの黄色い悲鳴とはまた違った悲鳴を上げた。
鷹宮くんが着替えの為、更衣室に入ってしまうと、残された私は気まずい雰囲気の中に取り残された。
未だに体育館から出ていかない彼女達に、思わず小さな溜息が零れそうになる。
これは少し面倒な事になるかもしれない。
そう思った時には既に遅し。
「ねぇ、小鳥遊さんって夏葵くんとどういう関係なの?」
「まさか、付き合ってるとか?」
唐突に鷹宮くん目的の女子達からの怒涛の質問攻めにされる。

