何故、今までこれといって関わりの無かった彼が突然関わってきたのだろうか。
それは私自身にも全く検討がつかない。
確かに未桜とは結構話している姿を見かけるが、私に関しては挨拶をされれば返す程度。
とてもではないが友達と称する事は出来ず、ただのクラスメート、その言葉がしっくりくる彼だった。
そして、何度もくどい様に言うが、鷹宮くんは眉目秀麗、運動神経抜群のいわゆるイケメン。
当然ながらモテる。
それはクラスの女子だけでなく、他学年他クラスの女子達からも圧倒的な人気を誇るだとか。
けれど、鷹宮くんはその人気故の告白にもやんわりと、しかし頑なに断っていると噂には聞く。
未桜曰く、鷹宮くんには1年前からずっと想っている好きな人がいるからだ、との事らしいが、それを知っている人は数少ない。
それを密かながらに知っている私にとっては今回の事は全くの予想外だった。
彼は平等に優しいが、自分に好意を寄せる女子の面倒は決して見ないらしい。
彼には好きな人がいる、にも関わらず、ほとんど他人状態の私を態々送り届けてくれた。
その事に対してこれ以上、何も考えなかった私は、特に何もする事が無かった為、さっさと就寝することにした。

