「まだ、君は消えてくれないんだね」
クッションを抱きながら天井を仰ぐ。
こうやって何も考えない時間に、脳裏に浮かぶのはやっぱり彼の事。
彼、氷之くんは消えてくれない。
「……諦めたと、思ってたのになぁ」
苦笑と共に零れるのは自分へ呆れの言葉。
思わず溜息が漏れる。
その刹那、不意に耳元の携帯が震え出し、聞きなれた音楽が部屋に流れた。
画面に映し出されたのは、さっきまで返信の内容に頭をひねっていた相手、鷹宮くんだった。
メールを開いてみると、そこには了解の文字と絵文字。
私は思わず笑ってしまった。
「ふふ、可愛いな」
こう言っては、男子の彼には失礼かもしれないが、不謹慎にもそう思ってしまった。
確かに部類的にはかっこいいというところだろう。
けれど、たまに見せる仕草が可愛くて。

