叶わぬ戀をした






強いて言えば、彼とはたったの一度だけ、一緒に去年の文化祭実行委員を務めたくらいで、それ以外は話もしなかった。





だから話掛けられた時は驚いた。




まさか、彼が教室に戻ってくるとも思っていなかったし、私に声を掛けるのさえ想像もしなかった。




ましてや、送るなんて言ってくれるなんて……。








余りに慣れない事が立て続けに起こる為、私の脳は許容オーバーが近い。





とりあえず彼に返信を送ろうと置いた携帯をもう一度手に取る。








「……これでいいかな?」





返信内容は簡潔に朝練見に行くね、とだけ。




自宅から学校までは歩いて10分だ。




多少、登校時間が早くても特に支障は無い。




態々誘ってくれた彼の誘いを断るのも悪いかと思って、これきりと胸の中で呟き、送信を押した。






携帯を放って投げてベッドに置いてあるクッションに手を伸ばした。