「実はさぁ、夏休みの課題が大量すぎて俺一人じゃ無理だってことに気付いたんだよ」


…へ? 課題?




「授業サボってたツケだなぁ。
英語がまったくわかんねー!!ってなってさ、それをやるために早めに戻った。つーか戻れって言われたわけ」

「あー…なるほど、それで朔也さんに教えてもらうんだ?」

「そ」


パスタをフォークでクルクルッとした龍輝さんは、面倒臭そうな顔で時計を見た。


「もうすぐ来るんだよなぁ、あの鬼教師」

「朔也さんは優しいじゃないですかー」

「いーや、アレはお前に優しいだけで普段はこえーぞ」


えー?
そうかなぁ。

朔也さんが「鬼」だなんて、全然想像出来ない。




「アイツに睨まれたら最後、生きては帰れないという伝説が…」

「なに馬鹿なこと言ってんだよ龍輝」

「わぁっ!?」


…あ、朔也さん。

いつの間にか来ていた朔也さんが、呆れた顔で龍輝さんを見てる。


「龍輝ぃ、朔ちゃんは鬼じゃなくて冷血なんだよ」


と、その後ろでくつくつ笑う大雅さん。


「あぁでも、真由ちゃんに対してはいつも優しいね?」

「…うるさいよ大雅」


楽しそうな大雅さんと、煩わしそうな朔也さん。


「朔也、真由は俺のだからな?」


なんて相変わらずの調子で言う龍輝さん。
それを聞いた大雅さんはもっと楽しそうに笑って、朔也さんはやっぱり呆れ顔。