「ちょっと行ってくるわ」
「え…? 行く、って…」
「アイツんとこ」
アイツ…涼太くんのところへ…?
「龍輝、一緒に行って殴んの手伝おーか?」
汗を拭って問う大雅さんに、龍輝さんは苦笑した。
「別に、殴るわけじゃねーから」
と、それだけを言い、ひらひらと手を振って涼太くんの元へ行ってしまった。
……空を見上げてる涼太くんに近づき、その隣にどっしりと腰を下ろす。
当然涼太くんは驚いた顔をして、同時に身構えて、そして不安そうな顔をする。
だけど龍輝さんはそんな涼太くんのことなんてこれっぽっちも気にしていない様子で、
さっきまで涼太くんがしていたように空を眺めた。
…その状態のまま、龍輝さんが何か言う。
私たちのところにまでは聞こえないその言葉に涼太くんはますます驚いた顔をして、そして、僅かに下唇を噛んだ。
それから…――、
「…え…?」
――…真っ直ぐに、私たちの方を見た。



