あとは、朔也さん…。
「………」
…朔也さんは眉間にシワを寄せ、小さなため息とともに私を見た。
「…アイツの言葉、あんまり気にしなくていいから」
「……いえ、大雅さんの言葉は当たってますよ。
たかがキス、なんですよね」
…そう。
キスなんて、しようと思えば誰だって出来るもの。
合意の上だとしても、そうじゃないとしても…、しようと思えば出来るものなんだ。
だから…、そんなことで悩んでる私がおかしいんだと思う。
「…迷惑かけちゃってごめんなさい」
さっきと同じように深々と頭を下げると…、朔也さんはまた小さく息を吐いた。
「…俺は別に、迷惑だなんて思ってない。
むしろ、真由が俺を頼ってくれたことが嬉しかった」
スッ…と朔也さんの指が私の頬に触れ、そして顎を引き上げる。
「…俺は、キスは大切なものだと思ってる」
…見つめ合う私たち。
時計の針の音だけが部屋に響く。
「………」
「………」
「……今でも俺は、真由のことを想ってる」
そして、朔也さんの体が僅かに近づく――。
「……だけど、龍輝を裏切るなんて出来ない」



