…こんな顔、見たことない。

私を鬱陶しそうに見るなんて、そんなこと今まで無かったのに…。




「…マジで、なんもねぇから」


そんな顔でそんな風に言われたら、もう何も言えないよ…。




……。




…その後の私たちは言葉無く館内を進んだ。

繋いでた手も離していたし、その距離もいつもより遠い。


…龍輝さんと何を話していいのか、わかんなくなっちゃった。

いつもなら、「何を話そうか」と考える前にすらすら言葉が出てくるのに…。




“…別に、なんもねぇって。”


…冷たい瞳、冷たい言葉…。
あんな風にまた見られるかもしれない、言われるかもしれない。

それが、怖い…。






…結局その後も私たちは会話らしい会話もせず、二人きりの時間は終わった。


みんなと再会してからの龍輝さんは、いつもと同じように笑っていたけれど…、でも、私に話しかけてくることは無かった。




…龍輝さんとの距離が、変わってしまった。


そうわかっているのに、私にはどうすることも出来なくて…、

…結局私と龍輝さんの1日は、その妙な距離のまま終わってしまった。