百合子side トントントン。 いま、 実都と自分のぶんの夜ご飯を作ってる。 かれこれもう、何年たつだろう。 こうやって、生きていけるのは、 実都の家族のおかげなんだよね。 すごく感謝してる。 でも、私は実都になにもしてあげられなかった。 実都が 苦しんでること知ってたのに。 私が1番近くにいたのに。 なにひとつしてあげられなかった。 ただ、実都の話を聞くのが怖かった。 聞いても、言葉をかけられないと知っていたから。 私は、臆病者。