「奏斗くん、実都に過去を聞いたの? 」
「百合子さん静かに!」
んっ、っていいながら
寝返りをうつ実都。
「聞きましたよ。あいつの力になりたくて。」
これはほんと…のこと。
はじめは興味本位だったけど
今は…こんなに苦しんでいる実都をほっとけない。
「あなたに実都を…あの子の過去を…聞く覚悟はあるの?」
「え…。」
さっきの百合子さんとは別人のように
真剣になる百合子さん。
「実都はね、大人の私たちでさえ乗り越えることが難しいくらい辛いことを経験したの。全部1人で抱えてる。私はずっと彼女を見守ってきたけど、声もかけられなかった。救ってあげられなかったの。誰も…。実都のこと。」
