郁也は嫌そうな顔をして、柊くんがいるであろう方向を睨み付ける。
「…柊くん?なんで…?」
「お前こそ、なんでここにいるわけ?」
郁也は私の言葉を遮って立ち上がる。
コツン、コツンと静かに近付いてくる足音。
ふたりの間には嫌な雰囲気が漂う。
「――栞をここまで運んだの、俺だから」
さっきまでの優しい表情はどこへ行ったのか…
郁也はとても冷たい瞳をしている。
それと真逆に、私の前に姿を現した柊くんはいつものポーカーフェイスを崩さない。
そして、沈黙が続いたあと口を開いたかと思うと、
「…次は栞か」
意味深な言葉を投げかけてきた。

