『彩っていう人が誰かわからないから』なんてこと、口が裂けても言えない。
ていうか、恥ずかしすぎる…
それじゃあ柊くんのことが好きみたいじゃん。
なにも言わず俯いたままジッとしていると、
「……なぁ」
人差し指で顎をくいっと持ち上げられた。
そこには、悲しそうな顔をした柊くんがいて。
私の目を捕らえて離さなかった。
――そんな顔、しないで。
「…俺、なんかしたっけ?」
至近距離でぽつりと呟く。
その声は、静な図書室に響いて消える。
私は何も言えなくて、ただ首を横に降るだけだった。
「――じゃあ、俺に勉強教わるの嫌?」
また首を横にふる。
「じゃあ、なんで?」
私はギュッと唇を結ぶ。
胸の奥がトクン、トクンと音を立てて動く。

