「きりーつ、れーい、さよならー」


少し長めのSHRが終わった放課後。


私は急いで旧校舎へ向かった。



柊くん来てるかな……



待たせてるかな……


私の教室から旧校舎までは意外と近くてそれが幸いだった。



旧校舎は理科室や資料室など、あんまり使われない教室がたくさんあるから、生徒も先生もあまり足を運ばない。


もちろん図書室も本館に新しくできたから、出入り自由になっている。



誰もいない旧校舎の廊下に響くひとつの足音。


その足音以外はなにも聞こえなくて。


それが逆に不気味さを漂わせる。



そんなことは気にせず、私は3階の図書室についた。



ｶﾞﾗｶﾞﾗｯ


ガタガタと開く重い扉をあけ、キョロキョロと辺りを見渡す。


シンとしている図書室には誰かいる気配がなくて、


規則正しく並んだ本棚が大きく見える。


私は扉を閉めると、奥にある机に足を進める。