「家にあったから。やるよ、それ」


柊くんはフッと笑うと



「じゃあな」


そう言って掴んでいた手を静かに離す。



途端に手の温もりがなくなって。


……なんだか、寂しい感じ。



そんなことを思いながら教室に戻った。




「――えー、明日はー」


担任の先生が明日の予定を確認してる時、


私は自分の手首を見つめていた。


柊くんに掴まれた右手首も、


飴玉を手のひらに置く時に触れた指も、


未だに熱を帯びている。


この前掴まれたときとは違って、触られた瞬間ちくりと痛みが走って。



――どうしちゃったんだろう……



私は飴玉の一つを手にとり、包み紙をあけて飴玉を口の中に運ぶ。



瞬間、口の中にコーヒーの苦味とミルクの甘さが広がる。



……おいしい。



私はカフェオレ味の飴玉を舐めながら、SHRを過ごした。