話し相手が居なくなった私は自分の席について、次の社会のテスト勉をすることにした。
社会は得意でいつも高得点なんだよねー。
マリナよりも点数が上の時がある。
ま、そんくらいしかないよね。自慢できること。
もう他のなんてミジンコよ、ミジンコ。
「……あのぉ、宇津木栞ちゃん、だよねぇ?」
私が黙々と社会の勉強をしてるとき。
前の席の女の子がクルッとこっちを振り返ってきた。
「――え、うん。そうだけど…」
「私の名前わかるぅ?」
女の子はハチミツより甘ったるい声で聞いてくる。
「そんなこと急に聞かれてもわからんよ……」
――なーんてことはもちろん言えず、私は頭の中で必死に考えた。
えーっと、たしか……
「橋本さんだっけ…「橘だよぉ!橘愛花(タチバナ アイカ)。よろしくね、栞ちゃん♪」」
あ、橋本さんじゃないの?橘さんなの?
知らなかったよ。

