――あ、ここ昨日やったところだ…。
今まで出来なかったところがスラスラ解けて。
いつもはほぼ白紙で出してたけど、今日は全部埋まった。
「栞、どうだった?」
「すごいよっ。今までにないくらい解けた!」
「あんた、大げさ。まあ良かったんじゃない?」
「うんっ!!だって柊くん教えるの上手なんだもん」
夢中でマリナに話しかけていたとき。
「藤岡さん、ちょっといい?委員会のことで話があるんだけど…」
気付いたら私の後ろにクラスの男子がいて、マリナに喋りかけていた。
クラスメイトの竹下くん。
マリナと一緒に学級委員をやっている、物静かで頭がいい。
ちなみに好青年でイケメン。
「あぁ~…ごめん、栞。またあとで」
そう言うとマリナは竹下くんに近寄って「なぁに?」と笑顔を向ける。
――マリナちゃん、私は気付いてるよ。
私の横を通りすぎたとき、「チッ」と軽く舌打ちしたことを。
笑顔で舌打ちって怖いね…
悪魔だよ、あんた。

