その時、ちょうど家に着いた。
「柊くん、ここでいい…、よ?」
ぎこちない言葉で話すと、柊くんは納得したような、満足げな笑みを見せて、「ん」と言った。
「あの…家まで送ってってもらってるし、勉強も教えてもらって…迷惑じゃない?」
おずおずと小声でそう言ったら、柊くんは少し黙って
「…別に、俺がやりたい事だし」
さっきとは違って素っ気なく言うと、「じゃーな」と来た道を引き返して行く。
「あ、ありがとう…これからもよろしくね…?」
聞こえるかわからないような声だったと思うけど、精一杯大きな声を出したつもり。
柊くんはその声が聞こえたのか、急にピタッと立ち止まって。
クルッと振り返ってこっちに歩いてきた。
――どうしたんだろ…?
柊くんは私の目の前に立ち、私の肩に手を置くと、
静かに顔を寄せてきて。

