「職員室にいるなら迎えに行く」って言っても、栞はそれを遮って「先に帰ってて」と叫ぶ。 その時、俺は栞が嘘をついているって思った。 普段、栞が叫ぶ時なんて滅多にない。 俺は「わかった」と答えて、電話を切った。 それと同時に深いため息をつく。 …マジ意味わかんねー…… 仕方なく俺は、ひとりでトボトボと帰った。 ――この時は、栞の様子がおかしいって、少し疑う程度だったけど。 本格的に疑い始めたのは、もう少し先の事だった。