「――きゃっ!!」
誰かに背中を押され、前に転んでしまった私。
「痛ッ――…」
「あんた、ホント馬鹿?先生がいちいち数学準備室に呼ぶと思う?」
頭上から聞こえる、棘(トゲ)のある声。
それは確かに、佐倉先輩の声だった。
「佐倉先輩……?」
咄嗟に起き上がり、佐倉先輩の方を向く。
そこには、いつの間にか居たのか、佐倉先輩だけでなくもう3人の人が増えていた。
「こんなトロいやつが斗真の女なんてありえないわ」
「もっといい女選ぶと思った」
口々に毒を吐く先輩たち。
私は何がなんだかわからず、ただボーッと突っ立ってるだけだった。

