「あの…どういうご用件で……」
「あぁ!忘れてた!!あなたの担任の先生から伝言頼まれたんだわ」
思い出したように手を叩くと、さっきの綺麗な笑顔になって
「あの人、数学の教科担任でしょ?今から数学準備室に来て、って言ってたわ」
またもや綺麗な声でそう言ってきた。
「数学準備室…ですか」
数学準備室ってどこ…?
まだ何階に何の教室がある、とかはっきり覚えてない。
ましてや数学準備室なんて、私とは無関係な教室だ。
「そう!なんなら、一緒に行く?場所わからないでしょ??」
そして、「そうしましょ!!」と一人頷く佐倉先輩。
「いいです」と答える前に私の腕を掴んで、ズンズンと進んでいく。
「あのっ!佐倉先輩!?私一人で行きます!!」
「いいのよ、遠慮しないで。先生も待ってるみたいだし」
私が必死に断っても、佐倉先輩は全然聞かない。
先輩だし、これ以上言わない方がいいと思って黙って付いていった。
佐倉先輩って、強引……。

