マリナのはっきりとした口調で、そのことが嘘ではないことがわかる。



だから保健室にいたとき、“呼び捨てで呼ぶことは超重要”って言ってたんだ……。



「でも私……郁也のことは友達としか思えないよ…」



『そうだと思って、郁也くんに言っといたのよ。“栞は郁也くんのこと、友達としか見てないと思うよ”って。……だけどね』



マリナの言葉の続きが気になって、ベットの上に置いてあるクッションをギュッと抱きしめる。



『――“斗真だけには、栞を譲りたくない。もし二人がくっついたら、絶対に奪ってやる”って』



「…………」



『…遠い目をして、何かを思い出してるみたいだったわ。過去に、何かあったんじゃないかな……』



う~んと小さく唸るマリナ。





―――この時、私は完全に忘れていた。



保健室で、斗真と郁也が“彩”という人の事で言い合っていたことを。



だからこの時マリナに



“別に何もないでしょ”



って言ったんだ。