“斗真”という名前を聞いた途端に、ドキリと心臓が反応する。 「『今日は勉強会ないけど、放課後に旧校舎の図書室に来て』だって」 雅也くんはそれだけ伝えると、じゃっ♪と言ってそそくさと帰っていった。 一方私はそこに突っ立ったまま動けなかった。 “斗真から” 雅也くんがさっき言った言葉が、頭の中でぐるぐる回っている。 伝えるのは、その時しかない…。 「…あれ?栞、どしたの??」 いつの間にかトイレから戻って来たマリナ。 私の腕をつかんでいた。 「…あ、マリナ…」