「…雅也から、『送ってってやれ』って電話きたから」
私の気持ちが伝わったのか、それとも私の顔に表れたのかわからないけど、柊くんはぶっきらぼうにそう言った。
「いや、いいです……。まだ明るいし、家もここから近いので」
「ダメだ。送ってく。家は?」
柊くんは私の言うことを聞かず、腕をぎゅっと掴んできた。
少し強引で無理矢理だったけど、私の腕を掴む力は優しかった。
いくら「いいです」と言っても私の手を掴んで離さないので、私は家まで送ってもらうことにした。
予想通り、二人の間には沈黙が続く。
……やっぱり、気まずいなぁ…
でも、まだ手は掴まれたままで。
二人の距離はけっこう近くて、時々肩が触れ合ってしまうほどだった。
その度に私の心臓はトクンッと跳ねて。
触れたところが熱を帯びて、ジンジンしてくるようだった。

