薬が効いているせいか、栞の額には汗がうっすらと滲んでいた。
俺は濡らしたタオルを額にあてて、汗を拭き取る。
今まで俺は女に執着することはさほどなかった。
でも栞だけは、守ってやりてぇって心から思う。
泣き虫で無防備で、俺が意地悪するとすぐに顔を真っ赤にするし。
かといってその顔が逆に俺をドキドキさせて。
そんな栞を俺はいつの間にか好きになってたみたいで。
だから栞があいつのことを“郁也”って呼び捨てしてたことに嫉妬した。
栞の全てを俺のモノにしたくて。
その瞳に俺だけを映したくて。
俺だけに溺れさせたい。
本当は強引にでも俺のモノにしたいけど、そんなことをしたら確実に嫌われる。
……まぁ、もう嫌われてるかもしんねぇけど。
だけど、じっくり、ゆっくり俺のことを好きにならせてみせるから。
……覚悟しとけよ?
俺は栞の寝顔を見て、少し微笑むと、
額に顔を近付けて、そっとキスをした。

