私は唇を固く結んだあと、柊くんのブラウン色の瞳を見ながら
「斗真……」
震える声で斗真の名前を呼んだ。
「――上出来」
柊くんは満足げに私を見ると、
ちゅっ、とわざとリップ音を立てて、
触れるだけのキスを唇に落とした。
「上手く言えたご褒美。今日からそうやって言わなかったら、お仕置きだからな」
私の髪をくしゃっと撫でる。
まだ胸がドキドキして、私は目を閉じた。
瞼に映るのは、やっぱり柊くんの意地悪そうな顔。
柊くんがキスした髪が、瞼が、唇が、耳が。
ジンジンと痛くなって熱を帯びる。
――こんなときも柊くんのことで頭がいっぱいなんて、
私、どうかしてる……
そこで私の意識が途切れた。