携帯を見ると、時間は5時を回っていて。
まだ遅い時間ではないけど、夕日は沈み始めていた。
カフェを出て家路につこうとしたとき。
「……おい」
後ろから声を掛けられた。
その声はさっき聞いた声で。
振り返ると、柊くんがダルそうに壁にもたれ掛かっていた。
「…あ、柊…くん?」
何か用?というふうに首を傾げると。
「送ってく」
聞こえるか聞こえないかくらいの声で言ってきた。
……え、なんで?
まだそんな時間じゃないのに。
そもそも今日一言も会話してないのに。
二人きりなんていったら、気まずいこと間違いないよ。

